確率論を知る
天気予報は確率論
昔の天気予報は「明日午後からは晴れでしょう」というような言い方をしていました。ですから雨が降ろうものなら「天気予報が外れたじゃないか!」という非難がすぐに出てきました。
ところが現在の天気予報は「明日午後の降水確率は20%です」というように、確率論を使って予報を出しています。実際には昔から確率論は使われていたはずなのですが、80%の確率で雨が降らないのを「降らない」と言い切るのではなく「降る確率は20%」と、可能性としてはゼロではないことも含めて表現しています。
クリック率・コンバージョンレートとは?
ASPのサイトなどでアフィリエイトの統計を見ていると、クリック率やコンバージョンレートといった数字が表示されていることがよくあります。
クリック率というのは、広告がクリックされた回数を、その広告が表示された回数で割ったのものです。一方コンバージョンレートは、広告をクリックした人が商品の購入やサービスの利用に至った率を表しています。
統計に表れてくるクリック率やコンバージョンレートは過去の数字ではありますが、十分な数のデータがあると、その数字を使って未来を予測することができるようになります。
1回2回の表示だけではクリックされたのがまぐれなのか、必然なのかはわかりません。しかしこれが500回表示されて50回クリックされていたとなると、今後も表示500回ごとに50回クリックされる、つまり、10%の確率でクリックされる可能性が高いことを意味しています。
したがって少しでもクリック率やコンバージョンレートを高める努力をすれば、成果は高くなり、安定してくることになります。重要なのは「確率を高める」ということです。
成果が出る確率は掛け算
注意していただきたいのは、一つの広告だけを考える場合、成果は次のような確率の掛け算で表現できる点です。
報酬単価 X 検索している人の数 X あなたのサイトに来る確率 X クリック率 X コンバージョンレート
この「掛け算」というのがポイントです。
極端なケースでサイトに1ページしかなく、商品リンクが1個しかない場合を考えて見ましょう。
成果は確率の掛け算になりますから、あなたのサイトに来る確率が0.1%、クリック率が1%、コンバージョンレートが1%となっていると、すべてを掛けた0.001X0.01X0.01しか可能性はありません。
対象商品が一つだけの場合、「成功報酬Xその商品を探している人の数」が理論的な報酬の上限になって、それ以上の成果は絶対に生み出すことができません。
そして掛け算ですから、どこかのパーセンテージが限りなくゼロに近づけば、成果はほとんどでなくなります。多くの場合検索エンジンで上位表示ができず、成果が出ない、ということが多いのですが、これは言い換えれば「検索結果からサイトに人が来る確率が限りなくゼロに近い」という現象が起きているわけです。
こうなると、一つのパーセンテージが限りなくゼロですから、クリック率やコンバージョンレートを上げる工夫をいくらしても結果に変化は現れません。
SEOを行って検索結果の上位に表示されるようにする、つまりは、人が来る確率を高める工夫をもちろんしなくてはいけないわけですが、広告が一つであったとしたら、どこか一つのパーセンテージがゼロに近づくことによって、成果はゼロになってしまいます。これは非常にリスキーな状況です。
確率的事象は足し算が対策
上で書いたように、広告が一つである場合には、どこか一つがゼロになることによってすべては無に帰してしまいます。これは広告に限らず、検索エンジンであればサイト単位で順位が決まることもありますから、サイトが一つである場合でも同様です。
また、一つのASPだけを経由して広告を取得している場合や、あるいは一つのマーチャントの商品のみを取り上げている場合にも同様のリスクを背負うことになります。
ASPも永久に続くとは限らず、事実小規模なASPだと営業を中止してしまったところもいくつかあります。またマーチャントも、倒産する場合もあれば、そこに至らなくてもアフィリエイトから撤退するケースは頻繁にあります。
さらに、2007年に大手ASPであるValueCommerceは減益になりましたが、この原因は消費者金融業界がグレーゾーン金利の問題の表面化と共に経営が厳しくなり、広告を自粛したことだそうです。つまり、一つの業界に依存していても、一挙にアフィリエイト収入を得ることが難しくなるわけです。
繰り返しますが、広告であれ、ASPであれ、サイトであれ、業界であれ、一つしか持たないことは、パーセンテージのひとつでもゼロになったらすべてがゼロになりますから、非常にリスクが高いことを意味しています。
そこで重要なのはサイト、広告、マーチャント、ASP、業界などを複数化・多様化しておくことです。この場合の成果はすべてを足したものの合計になります。
ある業界が下火になる、あるマーチャントがアフィリエイトから撤退する、あるサイトが検索結果の順位を下げる、そうしたことは必ず発生します。いつ、どれが、ということは全く予想できませんが。
例えば楽天市場に出店しているお店はかなり入れ代わりがあります。現在なん店舗あるのかは知りませんが、仮に千店舗あったとして、50店舗が毎年入れ替わるとしたら、楽天では5%の確率で掲載している商品やお店がなくなる、ということを意味します。
大手であれば安心かと言うとそうでもありません。東急ハンズは以前は楽天市場に出店していましたが、撤退してしまいました。イオンカードは以前アフィリエイト・プログラムを提供していましたが、アフィリエイトからは撤退してしまいました。私はこのどちらも広告を掲載していましたから、大きなあおりを食らいました。
それでも私がアフィリエイトで収益を出し続けているのは、もちろん他の商店、他のサービスのアフィリエイトも続けているからです。
興味がある方は、確率論的な思考の本を読んでみてください。